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March 08, 2005

コンテンツというくくりだけでは物足りない

 ITmediaで「Winny被害の実態とiPodケータイのススメ」という記事があった。NTTドコモの研究組織であるモバイル社会研究所が、音楽データの違法コピーダウンロード数とCDの売り上げ数の相関関係を調べて、「WinnyによってCD売り上げはむしろ伸びている」という結論を出したという話。

 音楽業界主導でない団体がこの手の研究をした場合、その多くが必ずポジティブな相関関係を見いだす結論になるし、逆に音楽業界主導だとCDの売り上げが落ちるネガティブな相関関係を訴える。市場調査ってのは、客観的に見えて、実はものすごく主観的なものということがよくわかる例(笑)。

 この記事に関連して、神尾寿氏がコラム記事「“パッケージからの卒業”後のコンテンツビジネス」を書かれていて、こちらの方は読み物としてまとまっているし、面白い。

 ただ、神尾氏のコラム自体が携帯電話ビジネスを中心に考察するという趣旨なので、そこに文句を言ってもしょうがないのだけど、やはり「コンテンツ」というくくりだけで音楽や映像に関わるビジネスを語るのは物足りなかったりする。偉そうに言ってしまえば、商品としてのニーズが高くても、魂(Soul)の無いコンテンツはクズだから。

 昔も今も、日本の音楽&映像産業に不足しているのは、「創造(Creation)」や「想像(Imagination)」を支えるための環境であり、それを整備し提供するためのシステム(企業、団体、社会制度)も十分に機能していないのが実情。まぁ、もっと根本には教育(家庭と学校)の問題もあって、そちらの方が事態はずっと深刻なんだとは思うけど。

 なんというか、もうちょっとだけ面白い「何か」をやりたいし、聴いてみたいし、観てみたいし、手に入れてみたいんだよね。まだまだ、どこかにそういうものがあると思うんだよなぁ…。



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