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September 26, 2004

輸入盤高騰を勝手気ままに考えてみる

 最近、色々なところで輸入盤が値上がり傾向にあるという話をよく聞く。で、ふと思ったのは、もしかして外資メジャー系のレコード会社が、これまでやっていた輸入盤事業を縮小もしくは停止するつもりなのかもしれないなということ。

 ここでオレの雑文を読んでいるような人なら、輸入盤の仕組みもある程度は知っているはずなので詳しい説明は端折ってしまうけど、日本で売られている輸入盤CDが場合によっては現地で買うより安いような値段で買えてしまうのは、そのほとんどがレコード会社の運営する輸入盤事業で仕入れられたものだから。もし、各レコード会社がこの輸入盤事業を辞めてしまえば、当然ながら安い仕入れルートがなくなるので、必然的に輸入盤全体の値段が上がることになる。

 だいたい、同じ企業において、ほぼ中身が同じものを、国内生産品と輸入品で併売して、売上を食い合いするなんてのは、経営的な視点で考えるとすごく変。これを自動車に置き換えて考えると判りやすい。例えば、トヨタがまったく同じグレードのカローラで国内生産版と海外生産版を出していて、どちらも正規トヨタディーラーで売っており、しかも海外生産版は最大5割程度も安く買えるシステムということになる。国内生産版のメリットは、マニュアルが日本語であることと、オマケの装備がいくつか標準で付いてくること。さすがにトヨタはこんな馬鹿な商売はやってない(微妙にグレードを変えたり、デザインを変えたりして、系列店同士での販売競争はやってるけどね…)。

 実用品でありなおかつ生命にも関わる商品である自動車と、単なる趣味用品の音楽ソフトを比較するのは、あまりにも無理があるけど、言わんとしていることは判るでしょ? だから、経営的にも厳しくなってきている国内レコード会社が、事業内容見直しの一環で輸入盤事業をリストラするのは十分あり得る話。あとは、外資メジャー系の親会社(Universal、Sony、BMG、EMI、Warner)が一体どうしたいのかということだけ。彼らから見れば、日本のレコード輸入権(改正著作権法)なんてのも、どうでもいい些末な話だったりするのだろうなと思う。

 今後の輸入盤マーケットで消費者的な視点から見て面白いのは、当然ながら世界的な規模で在庫を管理できそうなアマゾンとHMV、それからレコファンやシスコを筆頭とした独立系の輸入盤業者かな。タワーやツタヤは規模はでかくても国内企業だから輸入盤仕入れに関してはちょっと弱い気がする。あとは日本でヴァージンメガストアが失敗したのは、今となっては痛いかもしれない。

 ちなみに、日本の音楽産業全体の売上は、欧米に比べて、国内アーティスト(つまり邦楽)作品の占める割合が非常に高い。これは言葉の問題もあるから、まあ仕方のない話なんだけど…。ここで、あえて極論を言ってしまえば、洋楽カタログを全廃してもおそらく国内レコード会社はあまり困らないと思う。逆に言えば、そうなってしまったほうが、洋楽に関しては自由度が増えて面白いのかも。

 で、上に書いてきたこととは全然関係なく、オレはブライアン・ウイルソンの「SMiLE」をアメリカ盤で買おうかなぁ等と考えてる雨の日曜日の昼下がりでした(笑)。



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