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September 29, 2004

人の生命を守る立場から若い世代の人に食べさせるだけの勇気はない

 笹山登生氏の掲示板での投稿にて紹介されていた、9月8日付け中日新聞での食品安全委専門調査会座長代理・金子清俊氏の発言から。

 以下、非常に重要な資料であるので全文を抜粋しておきます:
中日新聞(2004年9月8日)

食品安全委専門調査会座長代理 金子清俊氏に聞く
安全基準は国民的合意必要
BSE検査緩和 輸入再開とは別次元

 内閣府の食品安全委員会プリオン専門調査会が、牛海綿状脳症(BSE)検査から生後20ヶ月以下の牛を排除する方向性を打ち出した。これで米国産牛肉の輸入再開問題は、政府のスケジュール通り大きく動き始めた。調査会の金子清俊座長代理(48)に、再開との関連などについて聞いた。(聞き手 山川剛史)

—調査会の取りまとめが、輸入再開に直結するのでは。

「この時期に取りまとめをすれば、輸入再開との関連性を疑われても仕方ないが、政府の思惑に乗った評価作業はしていない。別次元だ。どうも政府の方からも『(食品安全委の)検証作業を待つ』との発言が聞かれるが、何か混同している。国内BSE対策を評価したもので、米国産牛肉のリスク評価はしていない」

—しかし、政府は中間報告を頼りに国内基準を緩和し、輸入再開の環境づくりをしようとしている。

「どこでそんな話になってしまったのか。今の検査技術ではすべての牛の感染を検出できるかと問われれば『ノー』だ。だからといって全頭検査はしなくてもいい、とは一言も書いていない」

—米国は「全頭検査は非科学的だ」と圧力をかけているが。

「日本では生後21ヶ月、23ヶ月のBSE感染牛が発見された。米国のように30ヶ月で線引きしてしまえば、わずかな頭数とはいえ見逃されていた」

—輸入再開されても食べないのか。

「あくまでも個人の印象だが、検査もされず、リスク評価もできない不安な状態は嫌いだ。自分はともかく、人の生命を守る立場から若い世代の人に食べさせるだけの勇気はない」

—食品安全委報告が輸入再開の“お墨付き”となった場合、BSE問題が再発すれば食品安全委の責任追及も考えられる。

「十分あり得る話だ。だから、国が報告をどう生かすのか、評価するのも自分たちの仕事だと考えている。安全基準づくりには国民合意が絶対に必要だ」

金子清俊(かねこ きよとし) 新潟大学医学部卒。米カリフォルニア大学助教授を経て、99年国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第7部長に就任。渡米中プリオン研究の道に。著書に『プリオン病の謎に挑む』。長野市出身。



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