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February 13, 2004

 先日、Webサーフィンをしていたら、とある新聞社系のコラムページで「『消費者の利益』が顧みられない理由」という記事を見つけた。これは、消費者の利益になるはずであった酒類販売自由化の動きが、業界の政治工作によって阻止された事件の経緯を見つめ分析したものだ。結局は、消費者よりも業界の方が必死だから、業界のわがままがまかり通るという、どこにでもあるような話。しかし、そこで目に付いたのは次の部分:
 歴史を振り返ると、主婦連結成のきっかけとなった不良マッチ追放運動(1948年)、不当景品類及び不当表示防止法(景表法)の制定につながったニセ牛缶事件(1960年)、家電メーカーの抵抗を押し切って値下げを実現したカラーテレビ不買運動(1970年)など、消費者が自らの手で「消費者の利益」をつかんだ事例がいくつもある。

 特に気になったのが、「カラーテレビ不買運動」というやつ。こんなことがあったのかと思い、Googleで検索してみると、数は少ないけど内容を調べられる程度にはヒットした。

 「ビバ!昭和時代」という個人サイトには、テレビにまつわる事柄をまとめたページがあって、ここで事の経緯がわかりやすく書かれているので、以下長いけどそのまま引用:
カラー受像機の輸出価格と国内販売価格に格差がありすぎるという「二重価格問題」が持ち上がります。輸出ものが6万5千円するのに国内向けが約20万円するのかとばかりに各方面から問題が出され、その時は政府や公正取引委員会も動きました。その後の値下げやトランジスター化などが進んだことから、45年には白黒を上回る約640万台を生産(日本電子機械工業会調べ)し、アメリカを抜いて第一位となります。
しかしながら二重価格が45年に再燃します。それは工場出荷の分と小売価格に対するものでした。主婦連・地婦連などの消費者団体がそれに反対し、メーカーに対して「カラーテレビ不買運動」が巻き起こりますが、特に松下に対する抗議は凄まじく「全商品不買運動」が巻き起こります。当時の通産省が「テレビの機種を整理統合して量産の効果を上げれば小売価格は下げられる」(NHK編『放送50年史』52年刊)として行政指導に乗り出し、メーカーも「一定期間を経過した後現金正価(標準価格のこと)を引き下げる」(同)という最終態度を決めて、消費者団体に買い控えをやめるよう訴えました。

 ちなみに、この事件が確かにあったことを裏付けるような記述が、松下電器産業労働組合ホームページにはあったりする(笑)。

 この「カラーテレビ不買運動」事件を見ていて思ったのは、今のコピーコントロールCD問題も不買運動に値するだけのものなんじゃないかということ。残念ながら日本では、企業側の不正に対して、欧米のように消費者が集団という形で訴訟できるシステムが確立していない。しかし、不買運動という形であれば実行可能な訳だ。

 コピーコントロールCDの不買運動を展開するにあたっては、いまだにコピーコントロールCDの実態が判っていない人のためにも、わかりやすいスローガンが必要だと思う。とりあえず、「欠陥音楽ソフト商品は買っちゃダメ!」なんていうのはどうだろうか?(笑)

 「コピーコントロールCD」という言葉自体が、その正体(音楽CDに準拠していないため、市場にある主要なCDプレイヤーでの再生がまったく保証されていない)を判りにくくしているし、ましてや「CCCD」なんて省略すると気にもかけない人も多そうだ。さらに、このコピーコントロールCDやCCCDという言葉自体が、日本以外の国では一般的に通用しない和製英語でしかないため、海外での状況を調べようとして検索してもめぼしい情報がヒットしなかったりする(海外では「Copy Protected CD」と呼ばれる場合が多い)。

 今後は、レコード輸入権という法的規制でますます普通の音楽CDが買いにくい時代が来る可能性もある訳で、そうなる前にコピーコントロールCDという欠陥商品をこの世から抹殺するのが重要な課題なんだと思う訳です。

 さて、もし本当にコピーコントロールCD不買運動が起きたとしたら、大手レコード会社が倒産するような可能性もあるだろう。しかし、政府が大きな声で「痛みなき構造改革はない」と認めているぐらいなので(笑)、不買運動の結果として、企業が痛みを感じるのか、それとも消費者が痛みを感じるのかはやってみなければ判らないし、今よりも状況が良くなるのであれば歓迎だ。まぁ、オレ個人としては、レコード業界に友人や世話になった恩人もいたりするし、出来れば平和な形で納得できる解決を望みたいけれど、それは難しいのだろうな…。

 う〜む、長いばかりで説得力に欠ける文章になってしまった。頭の中が整理できたら、また改めて違う形で話を展開したいと思います(トホホ)。



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