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February 23, 2004

 CCCDやレコード輸入権の問題って、インターネット上では多数の個人Webサイトや掲示板などで取り上げられていながら、どうして一般メディアの表舞台では大々的に取り上げられることが少ないのだろうと長年疑問に感じていたのだけど、実は重要なポイントを見落としていることに気がついた。

 そのポイントとは、「再販」の問題。つまり、CCCDやレコード輸入権について、なぜそのような状況になってしまったのかと追求していくと、必然的に日本だけで通用している再販制度による音楽ソフト産業の保護という事実が浮かび上がってくるんだな(オマケにレンタル問題もあったりするし…)。で、この問題に触れるのは、紙媒体(要は新聞や雑誌等々)にとってタブーなんだよね。なぜなら、そういう出版産業も再販で保護されているから。再販制度に関する問題提起をしてしまうと、自分の首も絞めてしまうことになる。そして、主要なテレビ局の経営陣には必ず新聞社が絡んでいるから、当然テレビの報道でも再販について突っ込んだ取材をしないのが暗黙の了解。さらに、テレビの番組制作において歌番組はそれなりの重要度があるし、ましてやラジオ局じゃ音楽がなければ成立しないから、当然レコード会社に不利となるような言動は差し控える。おまけに、政治家と言われる人達にとってみれば、わざわざメディアが取り上げないような「些末なこと」に関わり合っていても効果的な宣伝活動は見込めないし、音楽ソフトの主要なユーザーが票田に反映しない若年層だと思っているから、真剣に取り組むはずがないとくる。

 実は、真っ当な感覚の人間ならば、レコード業界の中にいる人間でさえ、CCCDやレコード輸入権が「おかしい」のは判っているけれど、その事実を認めてしまうと自分達の生業が成り立たなくなるから、結果的にはメディアや政治家も巻き込んで、誰も事を正そうとはしない。そして、事態だけがどんどん一人歩きしていく。なんとも典型的な「キャッチ22*」的状況。これはもう、正当な手段では現状を変えることができないような気がしてきたなぁ…。

 とにかく、今の状況を肯定するにしろ否定するにしろ、実態を把握するための情報やそれに関する議論が簡単に見つかるのはネットだ。果たして、個人ユーザー中心によるインターネット上の運動だけで問題を解決できる力があるかと言えば、それは難しいだろうけど、何かのきっかけを生み出すだけのものがあるとは信じたいものです。


*キャッチ22とは?
 アメリカの作家、Joseph Hellerが書いた小説。第2時世界大戦を舞台にした不条理モノ。欧米では、多くの作家が影響を受けた本にあげるほど人気があり、映画化もされている。



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