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November 19, 2004

KDDIが考える「着うたフル」の勝算

 ITmediaに掲載されたかなり長いコラム記事。いろいろと示唆に富んでいて面白い。

 気になるところは、以下のあたり:
1)KDDIとしては、1曲30〜40秒程度でダウンロードできて、MDプレーヤー程度の音質が実現できることが、携帯電話の音楽配信がユーザーに受け入れられるバランスラインだと考えている

2)成功した着うたにしても、「あれは音楽配信ではなく、お金の取れるプロモーション活動。だから(レコード会社も)協力する」(中堅レコード会社幹部)という実情がある

3)我々の本音でいえば、音楽市場のメインマーケットであるアルバムCD販売につながるツールとして、(音楽業界に)着うたフルを活用していただきたいと考えています。着うたフルは音楽販売チャンネルと同時にプロモーションツールでもある、という二面性を持っています。この点をレコード会社に理解してもらえれば、音楽業界とWin-Winの関係が築けます

 まず音質だけど、これはもっと悪くてなっても問題ないのかもしれない。というのは、SPからLP、LPからCD、CDからMD、MDからMP3と、音楽ソフトのメディアが進化するにつれて、事実上音質はどんどん悪くなっているのにもかかわらず、一部のマニアを除いてはほとんど誰も文句を言ってないからだ。オレ個人としては、CDぐらいが許容できる限界なんだけどね。

 2番目の件は、まったくその通りで、レコード会社とJASRACは、笑いが止まらない状況。騙されてドンドン着うたに金をつぎ込んでいる若者が悪い(笑)。

 3番目の話は、かなり建前っぽい語り口だな。実際には、レコード会社にとって、事実上絶滅したシングル盤マーケットに成り代わる存在として音楽配信は救いの神となる可能性が大きい。そして、日本国内でもっとも成功に近い音楽配信プラットフォームは着うただ。だから、レコード会社側は内心、かなり着うたフルに期待しているだろうし、携帯電話会社も相手側のそういう内情を知った上で営業活動してると思われる。数年前に「携帯電話が音楽マーケットを殺した」と言っていた状況を思い出すと何とも皮肉な話だ。

 最後にauの担当者は、「携帯電話にイヤホン利用の文化がないことは承知しています。むしろ着うたフルによって、携帯電話(にイヤホンをつないで)で音を聴く文化を育成したい」と言っているけど、これを目論んだCMは大失敗だったね(笑)。あんなに無知で格好悪い提案の仕方をしているようでは、あまり勝算は無いのかもしれない…。



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