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October 17, 2004

シングルCD、聞かなくなったら捨てたことありますか?

 唐突に変な質問(笑)。もう少し補足すると、今じゃあまり見かけなくなったけど、シングルCDが「8cmサイズCD+縦長の紙ジャケット」形式で売られていた頃に、そのシングルを聞き飽きたらゴミ箱にポイっと捨てたことがあるかどうかってこと。

 で、「捨てたことがない」人は、それなりにコアな音楽ユーザーである可能性が高いし、逆に「捨てたことがある」人は、カジュアルな音楽ユーザーということになりますです、ハイ。

 …って、別にこれは性格診断テストとかじゃないのだけど、何が言いたいかというと、あの8cm CDって、コアな音楽ユーザーからすると、色々な面で不評(保存しにくいとか8cmだとかからないプレイヤーがある等々)だったのだけど、カジュアルな音楽ユーザーからしてみると、聞かなくなったら躊躇なく捨てられる大きさと質感、つまりは「使い捨てOK」なニュアンスが評価されていたという事実がある。これは、昔、何かのアンケート調査で発表されたデータで、当時純粋な音楽ファン(笑)であったオレには衝撃的すぎて、今も覚えている話なのだ。

 こういう音楽(ソフト)を使い捨てるという感覚は、コアな音楽ユーザーからすると理解しにくいし、身近にそういう事例を多数目撃しないと納得しがたいものがある。でも、社会的にどちらがマジョリティーかと言えば、使い捨てしている方だし、何百万枚という単位で売られるメガヒットを支えているのも、そういう使い捨てOKな人達なんだとオレは思うんだよね。

 だから、やたらにボーナストラックが入っていたり、豪華なジャケットを採用した12cmシングルは、使い捨てOKなニュアンスが減ってしまったから買いにくいし、実際以前よりも売れなくなったような気がする。で、そういうカジュアルな音楽を使い捨てしたい音楽ユーザーの欲求を効果的に満たしてくれたのが「着うた」で、結果的に音楽流通メディアとして確固たる地位を築いたんじゃないだろうか。一番判りやすい例は、大塚愛のシングル「さくらんぼ」が、実際のCD販売枚数より着うたダウンロード数の方が圧倒的に多かったという事件。

 今後、着うたがフルコーラスで販売される訳で、うまく行けば、またミリオンヒットが乱発されるのかもしれない。ただ、こうしたヒット曲が必ずしも後世に残る名曲であるという訳じゃないないあたりが「使い捨てOK」な音楽の宿命だったりもする…。まぁ、問題は日本の音楽産業が、どういうユーザーをメインの顧客として考えているかなんだけど、従来からの企業や団体がこれからもマーケットを牛耳っていくようだと、(コアな音楽ユーザー的立場からすれば)あまり楽しい未来ではないね。

 蛇足な話としては、CMタイアップ曲なんてのは、その多くがCMで使われるサビの部分だけを真剣に作っていて、あとの部分は適当にパーツを張りあわせて帳尻を合わせるなんてことが多い。だから、タイアップ曲のCDを買ってきて家で聞くと、お目当てのサビ以外の部分はメチャクチャつまらないなんてことがよくある。この手法で作られているヒット曲を聞くなら、サビだけが抜き出されている着うたが一番リーズナブルだったりするよね(笑)。



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