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July 28, 2004

CCCDの現状を勝手に考察してみる---EMIの場合

 最近のCCCDにまつわるネットの話題と言えば、東芝EMIの洋楽カタログが一部の例外を除いて、新たにプレスされる商品がほぼ全てCCCD化されそうだということ。

 具体的な動向は「ふっかつ!れしのお探しモノげっき」さんの7月22日のエントリー「ただいまT社さん・・・迷走中・・・」が判りやすい。

 この情報を見て感じることは、もうEMIは全カタログをCCCDでしか売らないつもりなんだろうなということ。かなり徹底してる。購買層などマーケティングの常識で考えれば、Muddy WatersやT-Bone Walkerあたりのブルース旧譜再発なんてCCCDにしても売上げ下がる可能性の方がデカイのに敢えてCCCDだものね(笑)。

 おそらく、EMIではワールドワイドなマーケティングポリシーが厳密に決められていて、そのリストに載っている作品はCCCDで出すことになっているのだと思う。逆に、そのリストに載っていない作品ならルールにしばられないから、カンタベリー系の再発モノがCD-DAでリリースできたりしているのじゃないだろうか? EMIのカタログに関しては、アメリカとイギリスをのぞく全世界でCCCD化が強力に推進されていて、その結果、カナダとかではこんなWebサイトもあったりする(笑)。

 さて、日本国内では洋楽と邦楽というジャンルがあるため、状況がちょっと特殊になり、そのせいでネット上での議論でも混乱していることが多い。邦楽の場合、アーティストごとでCCCD化の状況が異なったりしているからだ。

 こうなってしまう一番大きな理由は、邦楽カタログがワールドワイドなEMIのCCCD化戦略の対象に入っていないからだろうと思う。さらには、東芝EMIが原盤権を持たない場合が多いので、原盤を持つ側がCCCDを嫌えば、商品を一律にCCCD化できない事情が発生する。

 で、ここで飛躍して考えると、洋楽作品のほとんどはアメリカかイギリスのアーティストが作っている。そして、欧米アーティストの多くは、本人が原盤を持っている場合が多い。つまり、自分の母国で売られる作品がCCCD化されるのを嫌った場合、レコード会社としてもCCCD化するのが困難だ。しかし、母国以外で販売する場合には、レコード会社に委託して、海外のライセンシーへ音源を貸すという形式になる。当然、契約書上で、海外での販売形態は現地の事情に合わせることを許諾するみたいな条項が入っているだろうから、CCCD化しやすいのだと思われる。アーティスト側も、海外では海賊盤が多いからどうしてもCCCDでしか販売できないという風に説明されれば、割と簡単に納得しそうだ。逆に言えば、邦楽作品が海外で売られることになった場合、日本盤はCD-DAなのに、海外盤はCCCDというパターンは大いにあり得そう。

 邦楽と洋楽のカタログでCCCD化のパターンが違うので東芝EMIは迷走しているという見方は間違っていると思う。少なくとも、ワールドワイドなEMIの方針は全カタログをCCCD化しようとしているし、着実に日本盤はそうなっていると見なすのが正しいのじゃないだろうか? じゃ、邦楽の場合はどうかというと、誰が原盤を持っていて、誰の発言力が強いかが勝負だ(笑)。



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