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June 17, 2004

1985年7月ビクトリア州のどこかにて…

 昨日までの、あの日本の初夏にはあり得ないような乾いた空気が何処かへ行ってしまった。あれだけカラッとした日々が夏中続けば、オレの人格も明るさ一杯のおめでたい感じになれそうだったのになぁ(笑)。

 まだBlogなんて便利なシステムは無くて、いちいちHMTLで書いてはアップしてた頃のテキストがハードディスクの片隅に残っていたので、それをもう一度ネットにあげてみる。これは書きかけのままアイディアを忘れてしまった小説のようなもの:

空気の匂いが湿っていた。薄目を明けて窓の方を見ると、光が弱いのがわかった。雨が降っているのかもしれない。ベッドから起き上がるのが億劫だ。枕元に置いた腕時計は、午前7時を指してした。

しばらくそのままで、ぼうっとしていると、急に空腹を覚えたのでシーツの中から這い出ることにした。少し肌寒い。タオルをバックパックの中から探り出して、シャワールームへと向かう。シャワーを浴びながら、今日これからのことを考えてみたが、別に殊更良いアイディアが浮かぶわけでもなかった。ただ、昨日と同じことをするだけしか思いつかないのが情けない。隣のブースに、他の客が来たようだ。おはようと挨拶をかわす。自分の部屋に戻って荷物の整理をしながら歯を磨いた。髭をあたるのは面倒だったので、そのままにすることにした。チェックアウトのついでに、どこか近所で安い朝食を食える所があるか聞くと、隣の店に行けといわれた。隣はただの食料品店だ。まいったなと思いながら覗いてみると、ハンバーガーなんかをテイクアウトできるらしい。ハンバーガーは高いので、一番安いミートパイとコーラを買った。しめて1ドル90セント。トマトソースをくれと言ったら、10セントだと言われたので我慢することにする。朝からミートパイはまずい。

店の裏のゴミ箱の前に大きな段ボールが捨ててあるのを見つけた。それを拾い上げ、マジックで大きく「TO SYDNEY」と書いた。この看板があれば、昨日よりも効率が良いことは間違いない。少しうれしかった。

霧雨の中、寂しい町中を国道の方に向かって歩きだすことにした。このあたりはすごく車がすくない。たまに走っている車がいても、そいつはこの近所に用がある車ばかりだ。ここから2キロ先にある国道まで行かないと、長距離を走る車には出会えない。面倒がってポンチョを着なかったので、濡れた服が冷たかった。

5分程歩くと、空が明るくなってきた。雲の隙間から何本もの陽の光が真っ直ぐに地面に向かって延びている。地平線の向こうはきっと青い空で溢れているんだろうなと考えると、「California Dreaming」を思わず口ずさんでしまう。国道の手前に着く頃には、霧雨は止み、空を覆った雲もかなり薄くなっているのがわかった。

(Copyright 1996 Jun Otsuka)



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