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May 18, 2004

  [The Trembling of a Leaf]の5月17日のエントリーで、日本弁護士連合会による「知的財産推進計画の見直しに関する意見」が紹介されている。

 ここでの引用部分を読む限り、オレみたいな立場の人間から見れば、しごく当たり前のことしか書かれていないように思えるのだけど、こういう意見は政治の世界からすると、法案を誤って理解していると見る向きもあるみたいだ。

 例えば、衆議院議員の河野太郎氏(自民党)はこういう見解を示している。妙に丁寧な解説をしているみたいだけど、実は基本的に日本レコード協会などの声明と同じ趣旨内容で、結局は根拠がない「ご心配は要りません」や「ご安心下さい」の繰り返し。しかも、最後の最後に括弧付きで「(あとはビジネス契約の問題です。)」と逃げ道を忘れていないし…。

 とりあえず、上記リンク先の内容と重複しますが、以下に日本弁護士連合会の意見書の引用をペーストしておきます:
ここ1年の知的財産関連の立法、改革の動きを見る限り、権利者団体の意見を取り入れた、知的財産権の強化が強調されたものとなっており、国内消費者の利益、公正な競争、表現の自由等との公益的側面とのバランスは軽視されていたと言わざるを得ない。この点、特に顕著に表れているのが、日本販売禁止レコードの還流防止措置(著作権法の一部改正)法案の提出経緯である。

当該改正法案は、当初、邦楽レコードのアジアからの「還流防止」が主な目的で、洋楽レコードの輸入は妨げられないともとれる説明が関係各者になされたが、実際は、本件は、「真正品の並行輸入」の問題であり、邦楽レコードと洋楽レコードとを区別することはできないし、当該改正法の成立により、我が国の再販制度と相まって、結局は日本の消費者のみ、洋楽、邦楽を問わず、他のどの国より高いレコードを買わなければならないという状況になる。そして、このことは、日本の消費者利益を著しく損なうばかりか、日本の消費者がすぐれた音楽作品にアクセスできる条件を世界のどの国よりも少なくすることになり、ひいては日本の文化を危うくすることにもつながるものである。

今後、推進計画の見直しの際には、利害関係の強い団体の意見のみではなく、消費者団体等の意見や、学界や当会のような中立的立場の者の意見に十分に配慮し、法策定の過程及びその運用において公平かつ透明でなければならない。



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