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April 02, 2004

 3月31日付けで、通称「レコード輸入権」にまつわる質問主意書の顛末をとりあげ、翌日は絶望感から何も考えられないぐらい放心してました(というのは嘘ですが…)。今日は少し立ち直ったので、今後のシナリオをシミュレーションしてみましたが、さらに絶望的です(笑)。以下、一体何が起きそうなのかを書いてみます:
 まず、政府による実質的な輸入盤ビジネスの禁止という声明を受けて、多くのレコード会社は洋楽ビジネスの建て直しプランを検討しているはず。輸入盤の市場価格に合わせてズルズルと値下げしてきた国内盤の価格を、再び邦楽カタログ並みにまで引き上げられるのですから、喜々としていることでしょう。あと、既存の国内扱いがないレーベルなどへの問い合わせ作業も開始しているはず。もしかすると、今回の法案浮上を受けて、金儲けに目ざとい商社なんかが洋楽専門のレコード会社なんてのを画策している可能性もあり。

 とにかく、値段で勝負しなければならない輸入盤がなくなるということは、独占して高いレコードを売れるようになるので、各社必死になってカタログを押さえようとするはず。一旦カタログを押さえたら、あまり数をさばけないような作品は、実際に商品を作ることなく在庫切れという形で権利だけを生かす形になると考えられるので、マニアックな作品はいつまでたっても現物が存在しないパターンとなりそう。

 次に動くのは音楽配信事業。法案で語られる「レコード」というものが、音楽を流通するための全メディアを意味している以上、音楽配信データも「レコード」に分類されます。このため、Moraでは、今後おそらく1曲あたり300円程度の値段設定にしてくるのではないかと考えられます。こうすることで、1曲あたり99セント(=100〜150円)という破壊的な値段設定のiTunes Music Storeの存在は、日本国内音楽産業の「得ることが見込まれる利益が著しく減少する」原因となるため、法的に規制が可能になるからです。つまり、今回の法案は、日本における音楽産業の在り方を大幅に変えてしまいそうなiTunes Music Storen等の海外音楽配信事業をも阻止できるという、非常に素晴らしいものだったりします…。

 また、副次的な効果として、洋楽カタログをCCCD化することで、レア音源などのボーナストラック入り商品が日本以外のマーケットで流通することを実質的に阻止できる(海外ユーザーは日本のユーザー以上にCCCDが嫌い)ため、海外レーベルも自国での製品流通コントロールの観点から日本におけるCCCD化を歓迎することと思われます。ただ、輸入盤が存在しなくなればボーナストラックも不要になるため、大勢に影響はなし(笑)。

 以上、あえて極端に悲観的な推測をしてみましたが、絶対にあり得ない話とは言えないあたりが怖いです。こんなメチャクチャな事態が起きてしまうのを阻止するためにも、音楽好きの我々としては、出来る範囲で行動を起こす必要があります。まずはCCCDの不買運動の実行。そして、選挙ではこういった法案に疑問や反対を表明している政治家や政党(実在すれば…)へ投票していくことも大切でしょうね。う〜む、それにしても負け戦っぽいな。



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